レースレポート 全日本スーパーモト R2 HSR九州

   

2022年5月15日に熊本県のHSR九州にて全日本スーパーモト及びスーパーモト S1チャレンジが開催されました。

前回に引き続き、Motard Bike Nowからは、カメラマン ささきてつお さん(Twitter:@sasakitetsuo74)の全日本スーパーモトレースレポートを掲載いたしますので、ご覧ください。

S1 OPEN クラス

 

決勝ヒート1


S1OPENクラスは予選で唯一1分22秒台を出した#35田所がポールポジションを取り、決勝に挑む。
今回は得意の高速セクションが多いので確実に上位を取りたいところ。

 

後方から#5高部、#17菅野、#12大坪、ら四国勢とベテラン#8佐々木が23秒台で食い込んでくる。

 


決勝第1レースは好スタートを切った#35田所がホールショットを取り第1ダートへ。
その後を#12大坪、#17菅野、#8佐々木が続く。

 



#35田所は1周目から後続を引き離しにかかるが、#5高部が必死に食らいついている。

 

3位争いは#12大坪、#17菅野、#8佐々木の3台で行われている。

 


上位5台が1分23秒台のハイペースで周回しているので後続との差が開き始め集団が二つに分かれてきている。

 

安定した走りをした#35田所がそのまま#5高部を抑えきり嬉しい全日本初優勝。

 


2位には3秒差で#5高部が、タイムが落ちた#12大坪、#17菅野をかわして#8佐々木が3位でチェッカーを受けた。

 




以下#12大坪、#17菅野、6位には#7森田が今シーズン初入賞となった。

 

決勝ヒート2


決勝第2レースも好スタートを切った#35田所がホールショットを取り第1ダートへ。

 


第1ダートで#14千葉がコースを塞ぐ形で転倒してしまい、上位陣と中団との差が開いてしまった。

 


1周目を終えた時点で#35田所、#8佐々木、#5高部、#17菅野、#12大坪の5台が後続との差をつけて走行。


転倒のリカバリーが早くできた#15松本、#9納冨、#16川崎が3台で6位争いをしている。

 


トップを走る#35田所は1分22秒台でコンスタントに走り2位との差を開き始める。
2位以下は22秒から23秒の間で離されないように追いかけている。

 


最後までトップを譲らなかった#35田所が第2レースも優勝。

 





2位には#8佐々木、3位に#5高部、#12大坪、#17菅野が続き、6位争いは6週目に#9納冨を抜いた#15松本が逃げ切り入賞となった。

 

今回のレースは上位5台の速さと、#35田所の強さが現れた結果となった。
新たなチャンピオン候補の出現に次戦も期待してみたいと感じたレースだった。

S2クラス

 

決勝ヒート1




S2クラスは前戦の茂原で優勝した#26原島がチームメイトの#3西村とセット出しをしていて#3西村にポールを取られてしまったが、フロントロー3番手を獲得する。
練習走行から調子のよかった地元勢の#30小野が予選2位を獲得。若手の勢いに対してベテランの#26原島がどういう戦いをするかが決勝の見どころとなるか?

 


決勝レース1は#西村がホールショットを奪い第1ダートへ。
その後ろから#26原島、#30小野、#12鈴木、#7佐藤、#5勝谷と続く。

 



第2ダートで#3西村を抜いてトップになった#30小野は最初から飛ばして後続を引き離しにかかる。
しかし、3周目に追いついた#26原島がトップを奪うと一気に引き離しを図る。


5周目にファステストの22秒台を出すと一気に2位との差が開いていく。
#30小野も22秒台を出し追いすがるがタイムが安定せず、その差は開いていく。

 



終わってみれば2位に3秒の差をつけた#26原島が優勝。
健闘した#30小野が2位に入り、3位には2台に離されてしまった#3西村が入った。

 



以下#12鈴木、#5勝谷、#4土橋の順となった。

決勝ヒート2




決勝第2ヒートは#26原島が好スタートを見せ第1ダートへ。
後方では#27古高の転倒から詰まってしまい、#25大金も転倒してしまう。

 
#26原島はスタートから後続を引き離しにかかり、第2ダート終りのターンで早くもコ-ナー一つ分差をつけてしまう。
2位以下は#30小野、#3西村、#12鈴木、#4土橋の順で走行している。

 

5周目には唯一の21秒台のファステストを出して一人旅状態。


後方では転倒の影響で10位まで遅れた#5勝谷がすごい勢いで挽回してくる。


そのまま#26原島が2位に11秒の差を開いて独走でゴ-ル。これで前戦より4レース連続優勝となった。
2位には#30小野が入り、最終ラップで#12鈴木が#3西村をかわして3位に入ることが出来た。

 


4位争いは#3西村、#4土橋が最後まで僅差のバトルをしていたが#3西村に軍配が上がった。
6位に諦めずに挽回してきた#5勝谷が入ってきた。
しかし、レース後に#30小野、#5勝谷、#27古高が転倒時の対応に問題があったとのことでペナルティがあり、
30秒の加算となり、それぞれ6位、9位、10位と変更になってしまった。

 

今回も#26原島の圧勝劇となってしまったが#30小野の走りは目を見張るものがあり、#26原島も安心は出来ないはず。
また、#3西村や#12鈴木ら若手勢の活躍にも期待したい。

 

S1 Proクラス

決勝ヒート1

全日本クラスはシリーズランキングを優位にする為に関東方面より遠征してHSRRd.にもエントリーしている選手が多数いるが、S1PROクラスでは前日の練習走行時に#1日浦が左高速コーナーにて転倒、左足を負傷してしまう。
決勝を前に波乱の予感が漂ってきてポイントランキングに影響を与えるのか?

 


練習走行時に地元勢期待の#23山下が転倒、左腕を負傷してしまう。
前日より調子良く準備できていたために何より本人が一番悔しいであろう。
その後の予選を走ることが出来なかったために#23山下のレースは午前中で終わってしまった。

 


予選では#1日浦と#2長谷川が1分20秒を切る走りを見せ、ライバル達に速さを見せつける。
その後を1分20秒台で#4金子、#6小原、#10川上、と続く。

 


決勝第1レースでは#2長谷川が好スタートでホールショットを奪う。
その後を#1日浦、#4金子、#6小原、#11川上、#5森田と続くが後方では#8金児が侵入のラインが無くなり#9西村と接触して転倒してしまう。

 



#2長谷川と#1日浦は2台でトップ争いをしながら後続を引き離しにかかる。
その後を追いかける#6小原。

 



後方では中盤の順位争いで#16松本が第2ダートでジャンプの着地でミスをして転倒。
#4金子、#11川上、#5森田の4位争いが毎週順位を変える好バトルをしている。




9周目に隙をついて第1ダートでトップを奪った#1日浦が最後は逃げ切って今季初優勝。
2位には#2長谷川、3位には最終ラップに#2長谷川に追いついて第2ダートで勝負に出たが、抜くことが出来なかった#6小原となった。
以下#4金子、#11川上、#5森田とチェッカーを受けた。

 

決勝ヒート2



決勝第2レースでは第1レースで転倒してしまった#8金児、#16松本が怪我の為リタイヤとなった。
レースは好スタートを決めた#1日浦が第1ダート侵入時スライドで入ったところに#2長谷川のフロントタイヤが当たり、バランスを崩してしまい、#11川上が巻き込まれて転倒してしまう。



2周目には#5森田が第1ダートで転倒してしまう。

トップの#1日浦は後続を引き離しにかかるが#6小原が必死に食らいつく。
その後を#4金子、#9西村、#17新沼が表彰台を狙いに争っている。
しかし、#4金子は3位走行中7周目に第2ダートで転倒をしてしまい残念なリタイアとなってしまう。

 

順位を10位まで下げた#2長谷川は毎周順位を上げる驚異の走りで後半は#9西村とのバトルとなった。

 

#1日浦は一度も順位を下げることなく最後まで走り切り今季2勝目の優勝をあげる。
2位にはあと一歩追いつけなかった#6小原、3位には最終ラップに順位を上げた#2長谷川がはいってきた。

 

以下#9西村、#17新沼、#18瀧川の順でチェッカーを受けた。

 

今回ダートセクションでの転倒が多かったことを差し引いても前日の走行で負傷した#1日浦が両レースを優勝で終えるということを予想した人は少なかったはず。
手負いのチャンピオンが全力で「勝利」を取りに来たレースと感じた今回のレースだった。

今回の全日本スーパーモト開幕戦で印象に残っていた選手を紹介!

S1PRO #1 日浦 大治朗 選手 (Team S.T.F.)

昨年のチャンピオンが苦しんでいる。

開幕戦の茂原ではまさかの2レースともに転倒して最低限のポイントしか取れなかった。
気を取り直して挑んだHSRでは土曜日の練習走行で気が緩んだわけではないが高速の左コーナーで転倒。膝を怪我してしまった。
正直リタイアが頭をよぎった。実際レース後に聞いたら「マシンを片付けて帰ろう」と思っていたそうだ。

それでも痛み止めを飲み、日曜日の練習走行で走れるか判断しようと決め、安静に努めた結果翌日マシンに跨ってみたらいけそうな気がしたとのこと。
「座っているよりもステップに立った方が楽なんですよ」と言っていたが予選も最後のアタックでポールを取ることが出来たのは只々驚きである。

決勝第1レースではチームメイトで最大のライバル#2長谷川をかわしての優勝。
決勝第2レースでは#6小原の追撃を振り切りでの優勝。

決勝後のコメントでは「長谷川選手も小原選手もダートが速いので勝てて良かったです」とコメントにも自信が戻ってきたように感じられた。

今回の優勝でポイントも上位3人に入ってきて、トップの長谷川選手にはまだ31ポイント離されてはいるが十分射程距離に入ってきている。

さあ、これからがショータイム。
復活したチャンピオンの逆襲が今、始まる。

S2 #30 小野 一馬 選手 (DIABROSバイクショップR)


「いやーハラツヨさん強いっす。完敗です。」(注:ハラツヨとは#26原島選手の愛称)
とは今回S2クラス第1レースで2位に入った小野選手。
和柄のデザインでグリッドでは和傘を持ったヘルパーがいるなど見た目から派手である。
しかし、それは速さから来る自信の表れでもある。

予選では早さに定評のある#3西村と#26原島に割って入る2位を獲得、それも23秒台でだ。
レースでも一時はトップを走る速さを見せ応援に来た地元のファンを沸かせることが出来た。
しかし、終わってみれば全日本常連メンバーの強さに悔しい結果となった。

その悔しさからだろうか、レース後後半戦の名阪Rd.に参戦するとの表明をする。
マシンも新しいものにチェンジするとのこと。
同じチーム員を引き連れてリベンジに来るということで今頃準備を始めているであろう。


速さではなく、強さを求めた小野選手。
スポットではなく、フルエントリーでの雄姿を見てみたいのは筆者だけではないと思う。
後半戦名阪での走りに期待したい。

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