レースマシン紹介 CRF450R Supermoto 2017 by Motard Bike Now CP sports MOTOZEN

   

車両の売り先も決まったことですし、今までのマシン作り内容も含めて私のマシンを紹介させていただくことにしました!

CRF450R Supermoto 2017 by Motard Bike Now CP sports MOTOZEN

車種
Honda CRF450R 2017
タイヤ
Bridgestone モタードスリック
フロント:BM01Z Soft 120/600/R16.5
リア:R02 YCY 165/630/R17
サスペンション
フロント リバルビング+バネレート変更 油量調整 22mmダウン スプリングレート4.3N
リア リバルビング+バネレート変更 車高で約21mmダウン スプリングレート52Nまた54N
スイングアーム
CP sports オリジナルショート&ワイド加工スイングアーム 21.5mmショート、4mmワイド
トリプルクランプ
STD
フロントブレーキ
マスターシリンダー:NISSIN
キャリパー:Brembo 40mmピッチ レーシング
ブレーキディスク:BRAKING 320mm ウェーブディスク
キャリパーサポート:QTMキャリパーサポート
リアブレーキ
マスターシリンダー:STD
キャリパー STD
ローター 旧CRFの丸型タイプ
エンジン
ヘッド等の加工でハイコンプ仕様
クラッチ
SUTER スリッパークラッチ(枚数&スプリングレートアップ), HINSONクラッチケーブルブラケット, SUTERクラッチカバー, ZAP クラッチホルダー
吸気系
エアフィルターケージ&エアボックスをUS仕様でパワーアップ
排気系
DVR ツインカーボンステレオエキゾースト
ホイール
HAAN F3.5-16.5 R5.0-17
スプロケット
フロント:15丁、リア:47丁 Esjot
チェーン
RK GC520MXU
エンジンオイル
LIQUI MOLY Motorbike 4T Synth Street Race 10W-50または10W-60
ECU
STD
ガード類
ハンドガード:CYCRA プロベンドウルトラハンドガード+Uクランプ
アンダーガード:STD
アクスルガード:SMR アクスルブロックスライダー
外装
Polisport 外装キット ダークグレー
CYCRA スタジアムナンバープレートフォークプロテクター
オリジナルチームデカール
EnjoyMFG シートカバー スタンダードタイプ
ステップ
ショート&アップ加工
ハンドル周り
Mika Metals RAWシリーズテーパーバー RCベンド+ポスト延長でハンドル高さをアップ
電装関係
オプションセルキット+リチウムイオンバッテリー
その他
HammerHead ホールショットデバイス
製作者から一言
ライダーの体格、走り方に合わせたセットアップがコンセプトなので、交換の必要がある部品は購入しましたが、段階的にチューニング加工/変更で仕上げました。

CRF450Rを選んだ理由


引用:ホンダwebサイト

モタードはHusqvarnaのモタードパッケージ車を乗ったり触ったりすることが多かったのですが、久々にモトクロッサー状態からモタード車両を作りたいという願望がありました。

  • モタードマシンを作る、乗る、セットするの3点をマルチで行えるようになりたかったから
  • モタードにおいてアルミフレームは剛性が高く、曲がらないと言われることが多いけれど、乗り方とセットアップで何とかしたいというチャレンジをしたかったから
  • CRFは2008年まで乗っていたので多少の部品は持っている。
  • ホンダは車両の絶対的流通量が多いから中古部品も入手しやすい。
  • 純正部品は注文すれば大概次の日に届くので万が一の不安が少ない。
  • 450のキックがしんどいのでセル付きしか考えていない

これらの理由から2017年以降のCRF450Rをチョイスしました。

 

モタード化のファーストステップ

中古車を買ったので、まずはバラバラにして洗車とメンテナンス。
その後各部ディメンションを測定し狙った数値に合わせて行きます。

この結果、トリプルクランプを変更する必要は無し。という判断でサスの長さとスイングアームのショート量(21.5mmショート、4mmワイド)を決めました。
まだ乗っていないので、バルブシムの積み替えは行わずフロントスプリングはとりあえずチームが持つデータから4.5Nぐらいのスプリングを入れました。
(ライダーの体重は約50kg)

同時進行でライディングポジションを合わせるために、ステップとハンドルを上げています。
これはCPsportsで考える、より自然で最適な姿勢で乗れるようにするためです。

またシートカバーはEnjoyMFGを使用していますが、あえてのリブ無しを選択しています。
EnjoyMFGのシートカバーは優れたグリップ力が特徴ですが、私の乗り方の場合座り直すような時に引っ掛かりがあるため、リブと革つなぎの相性は良くないと思っています。
そのためスタンダードタイプを選択しました。

 

 

シェイクダウン

2019/04/20に行われたスポーツランド山梨のエリア選手権にエントリーしたため、その前日に桶川スポーツランドでシェイクダウンを行いました。
シェイクダウンの目的は、まずマシンがちゃんと走ること。そしてセットアップの方向性を確認するためです。
全体的に大きな問題はありませんが、フロントサスの奥への入りがイマイチ。そしてクラッチが滑るというトラブルが発生しました。

フロントサスについてはとりあえず油量を30cc減らして改善の方向、クラッチについてはメインスプリングのレートをアップしてひとまず滑りは解消。

クラッチのメインスプリングを強くしたことで、加速側の出方が良くなり、またエンブレの効きも強くなりいい方向へ、結果一石二鳥の効果を得られることになりました。

車両についてはトラクションの良さと扱いやすさを感じ、約10年のマシン進化をひしひしと感じました。
(私が乗ったことがあるホンダ車両は、450R MY2006、250R MY2008)

 

 

久々のレース

スポーツランド山梨の様子

 

 

私にとっては約2年ぶりのレースとなったスポーツランド山梨のエリア戦。
ダートありモタードコースの走行も2年ぶりです。

マシンに問題は無く、タイムアタックは2番手タイム。
しかし、クラッチスプリングレートを上げたことでクラッチが重い…
ターマックのみならばさしてクラッチを握らないためにあまり気にしませんでしたが、ダートが入るとクラッチ操作がとても増えます。
ブロックタイヤに比べてエンストしやすいため、繊細なクラッチワークが必要になるためです。

3周も走れば腕上がりで左腕がパンパン…
さてこれは困ったと思っていたところですがレースは始まってしまいます。

決勝ヒート1はトップ走行中にダートでエンスト。
その隙に1台に抜かれ、腕上がりでペースを上げれず2位でチェッカー。

決勝ヒート2は2位スタート、順調にトップを追い背後まで迫る中最終コーナー立ち上がったところでトップが転倒。
あわや衝突というところをギリギリ避け私が1位へ、そのままトップでチェッカーを受けました。

 

 

シェイクダウンを終えて

マシン作りの方向性として間違っていないことを確認しました。

サスについて

車体姿勢は概ね決まったため、突き出しで調整していたフロントフォークを22mmストロークダウンし、油量をさらに30ccダウン、突き出し量は5mmへ。
バルブは前後とも中間より奥で固さがあるためリバルビングで調整します。
スプリングも同様で、前後とも固さが見られるためフロントを4.3Nへ、リアを52Nへ変更しました。

 

 

クラッチについて

重いクラッチレバーについては、純正とテコ比が異なり軽くなるZAPクラッチホルダーへ変更し、HINSONのクラッチケーブルブラケットを投入しました。


出典:スターズトレーディング オンラインショップ

ZAPのクラッチホルダーに変更したことでクラッチレバーは軽くなりましたがミートポイントと半クラのフィーリングがかなり違います。
これぐらいでクラッチは切れているはず、というところで切れていないためエンストしてしまうのです。
レバーを遠くし引き代を多く、また遊びを減らすことで調整。
あとは人間が慣れることでエンストはしなくなりました。


HINSONクラッチケーブルブラケットはアルミの削り出しで、純正のスチールに比べ剛性が高くなり操作に対するキレをアップする商品です。
純正スチールブラケットはクラッチを握るとウニャウニャとしなるのが見えるほどですが、HINSONに変えたら随分としなりが無くなりフィーリングが良くなりました。

 

音量について

シェイクダウン時は吸排気は全くのノーマルでした。
排気音が静かだなーとは思っていましたが、レース時の音量測定でうろ覚えですが107db(レギュレーションは112db)という極端に低い数字だったため、かなりパワーが抑えられていることを確信。
US仕様と日本仕様の部品を比べるとエアフィルターケージ、エアボックス、サイレンサーが異なることを確認し、吸排気でパワーを抑えていると予想。
まずは費用があまり掛からないUS仕様エアフィルターケージを注文、見比べてみたら日本仕様はエアフィルターの半分は蓋がされている状態でした。
またエアボックスも日本仕様は吸気口の一部に蓋がされていました。
蓋の部分はねじ止めのため、ここを外して吸気量アップ。
フィルターケージ交換と吸気量アップで見違えるほど走るエンジンになりました。
ただし扱いやすさが落ちたのもの事実。ダートでしか走らない場合、私レベルでは吸気系の変更は必要無い、むしろ逆効果だとも感じました。


この部品がエアボックスの蓋

左がUS仕様、右が日本国内仕様

2019年に行ったその他の変更

バルブ積み替えは前後とも1回ずつ行いました。
ベースセットは出たので微調整の範囲しか行っていません。

2020年シーズンに向けて

エンジンオーバーホールとチューニング

全バラして各部チェックの結果、交換部品は以下の通り

  • クランクシャフトASSY
  • 腰下ベアリング(クランク、ミッション、バランサーの4軸)、オイルシール
  • ピストン
  • シリンダー
  • カムチェーン
  • 吸排気バルブ
  • バルブステムシール

シリンダーヘッド吸排気ポートを修正、燃焼室とピストンを加工しハイコンプ仕様に。
バルブシートを薄くカットし、当たり幅をギリギリまで少なくしました。

 

 

クラッチについて

CRF450Rは2017年モデルから従来のフリクションプレート8枚から7枚に変更されました。
モトクロスで容量と伝達力が足りていても、スリックタイヤでアスファルトを走るモタードではクラッチに不安がある…
調べるとHINSONからは8枚キットや9枚キットが出ていることから7枚より8枚の方が向いているのでは無いか?
という仮説の元、8枚仕様にする方法を考えます。
純正クラッチバスケット+SUTERクラッチでも部品の組み合わせで8枚仕様が実現可能に。
8枚をテストした結果、立ち上がりでより前に出ることを確認したため、今シーズンは8枚仕様で行くことにしました。
(2021年モデルのCRF450Rは純正で8枚に戻りました)

サスについて

前年度の実績データからフロントのバルブを積み替え、リアはライダーのスピードが上がり負荷が増えたこともあってスプリングレートを54Nに変更。

DVR ツインカーボンステレオエキゾーストシステムを投入

チェコ製でスーパーモト世界選手権でも実績のあるDVRエキゾーストを投入しました。
CRF450Rは元々サイレンサーが2本ですが、DVRはヘッド出口からエキパイが2本に分かれそのままサイレンサーにつながります。
エンジン左側にもエキパイがあるのが特徴的で、一目でわかります。
以下ダイノグラフはメーカーが提供しているもの。
全域でパワーアップし、ピークでは約5psの差が出ています。

 

乗ったフィーリングもグラフの通りで、低回転域はそれほど違いは感じませんが中域以上が速い。
最初のテストは茂原ツインサーキットだったのですが、ホームストレートの登りで特に違いを感じました。

音量は九州で測定した時に111dbほどでした。
車検についての心配はありません。

まとめ

自分の納得する作業が出来、当初の目的が達成されたため、このマシンは手放すことにしました。
所属チーム CPsportsが持つモタード車両のノウハウは、Husqvarnaだけではなくホンダでも十分に通用し活かせることを実証出来たと思っています。
今シーズン、諸事情により最後までレースに出れなかったことが残念ですが、やり切ったと言えるので非常に満足感はあります。

来年は車両を乗り換える予定ですが、これらの実績とデータを踏まえより良いマシン作りとレース活動を行っていきたいと思います。

 - レースマシン

Partners